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希望を実現するために心がけていること

 Lina(サイエンスライター)

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何か実現したいことがあるとき、人間は目標を設定し、その目標に向かって行動する。

このようなとき、わたしは実際に達成したい目標より高い目標を設定するようにしている。

たとえば、TOEICを受験したとき、900点以上のスコアを取りたかったのだが、目標は990点と設定して勉強した。

だが、周囲を観察するかぎり、私の周りには「希望」と「目標」が一致している場合が多い。900点をとりたかったら、900点を目標にして勉強するようだ。

わたしのように、希望よりも高い目標を設定するのは稀らしい。

しかし、希望と目標を一致させることは、希望が達成されないリスクを高くすると考えられる。

堅実な目標の弱点

低い目標に比べ、高い目標は、達成するのが難しい。目標達成に要する労力や時間が長くなる。たとえば、英検1級に受かるのと3級に受かるのでは、必要な勉強時間に雲泥の差がある。これらのリソースは限られている。個人の能力も、この「リソース」に考慮される。

目標設定をするとき、この「リソース」と目標の「難易度」のさじ加減をはかり、妥当で現実的な目標を設定するだろう(目標設定の時点ではリソースを鑑みないケースもあるが、それはここでは除外する)。

例として、全くの初心者がスペイン語を勉強しはじめる場合を考えよう。土日に2時間ずつ勉強時間が確保できると想定する。そして、目標の目安として資格試験を用いることにし、1年後にスペイン語検定の4級に合格しよう、というような場合だ。

4級は「スペイン語の授業を約200時間以上受講しているか、これに相当する学習経験を有する方が対象1」らしいので、土日2時間×4週×12ヶ月=192時間となり、かなり妥当な目標設定のやり方ではないだろうか。

もし、期間が半年ならばもう少しレベルを落として「5級合格」を目指すかもしれないし、本人が暗記が苦手と自覚している場合も、もう少し低い目標を設定するかもしれない。一方、1年しか期間がないのに、1級合格という目標を立てるのは非現実的だ。少年よ大志を抱けとはいえ、徒に抱けば良いというものではない。

このような目標設定のやり方が一般的だろうと予想するし、現実的で堅実なやり方であるとも思う。

そして、このような堅実な目標に向かって日々邁進することで、ある程度の目標達成は見込めるものと考える。

しかし、堅実な目標には弱点もある。

目標以上は望めない

人生にはありとあらゆる不確定要素が存在する。そのため、堅実な目標を設定していたら、ひとつ下のレベル止まりになってしまう可能性が多いに生じる。

たとえば、堅実な目標設定を行って努力し、物事が順風満帆に進めば、初心者が1年後にスペイン語検定4級に受かるだろう。しかし、不確定要素が出現してしまうと5級止まりになってしまうかもしれない。

この例における不確定要素には、以下のようなものが含まれる。
・別の用事が入り、勉強時間が確保できない
・試験当日、自分の苦手な分野ばかり出題された
・試験当日、体調が悪くて試験に集中できなかった

4級に受かるための勉強をしていると、4級に受かるレベルにしか到達しない。

これは当然で、4級が目標であるため、4級の参考書や問題集で勉強しているからだ。4級の勉強をしているのに、3級のレベルに到達することはまずない。

受験生が目標とする志望校に合格することがあっても、志望校以上のレベルの学校に合格することは、相当な運に恵まれないと難しいだろう。

さらに、実際は志望校に合格できず、「滑り止め」として受験した学校に入学することになる人のほうが多いのではないか。

ひとつ下のレベル止まりになることを逆手に取る

このように、堅実な目標を設定していると、ひとつ下のレベル止まりになる可能性が高くなってしまう。

しかし、これは逆に言えば「目標のひとつ下のレベルには到達できる」ということも意味する。

「滑り止め」に合格するのは、目標としている志望校よりもレベルが低いため、必然的にそのレベルには到達できるからである。

本当に達成したいと望むのが「4級合格」ならば、目標設定は「3級合格」にしておく。そして、3級に合格するための勉強をしておく。文法も、単語も、4級のテキストだけではなく、3級のテキストも用いて、勉強する。そして、試験に臨む。

こうすることで、必然的に、希望する4級合格のレベルには到達できる。

これが、わたしが本来の希望より高い目標を設定するようにしている理由だ。

幸運は幸運をつかむ準備ができた人にだけ訪れる

本来の希望よりも目標を高く設定する場合、一応はその高めの目標に合わせた行動を行うため、より多くのリソース(労力・時間・資金)が必要となる。これはデメリットであろう。

しかし、予想以上にスムーズに事が運んだり、少し運が味方してくれれば、高く設定しておいた目標を達成できる。つまり希望よりも高いレベルの希望を実現できるのだ。

4級が希望で、3級を目標に設定して3級の勉強をしていたら、試験で運良く得意分野が出題されたら、3級に合格することが十分にあり得る。一方、4級が希望で4級を目標にして勉強していたら、3級を合格することなどあり得ない。

受験生が「記念受験」をしても、大概はただの記念で終わる。しかし、時々、本当に志望校よりもひとつ上のレベルの学校に合格する場合もある。これは、幸運であるようで、単純な幸運ではない。

希望を実現するために必要な以上の準備をしていた結果で、幸運がやってきたときに、それをつかむことができたということである。下準備ができていなかったら、運が近くまでやってきても、それを取り逃がしてしまう。

目標は少し高く、延長線上で

ここまで、実際の希望よりも高い目標を設定するメリットについて論じてきたが、この希望より高い目標は高ければ高いほどよいというわけではないと考える。

宇宙飛行士になりたい、という高い目標を掲げたところで、それを達成できる人がどれくらいいるだろう。少なくともわたしには限りなく不可能だ。

もし、このような目標を掲げてしまったら、何から手をつければよいかわからなくなり、目標達成の計画を立てる時点で頓挫するだろう。全く目標に近づけなくて永遠にフラストレーションを感じるだろうし、モチベーションの維持も難しいだろう。

また、希望の延長線上に目標が位置している必要もある。

たとえば、「日常会話に困らない英語力」を希望している人が、「TOEIC 800点」という目標を設定して勉強してもそれほど意味はないだろう。

TOEICの試験はリーディングとリスニングしかない。スピーキングの試験はないのだから、TOEICで高得点が取れたからといって、「日常生活に困らない英語力」が得られるとは限らない。

TOEICには、コンピュータに向かってスピーキングする試験もあるため、そちらを勉強したほうがよいだろう。それか英検やIETLSなど、スピーキングも試験科目にある資格試験を受けるべきだ。

このあたりの目標設定の案配は慎重に考慮する必要があるし、目標達成に必要な時間や費用から、自己の能力を正確に把握・分析しなければならない。

目標設定が適切に行えることは、希望を実現することができる人の必要条件だと思う。

そして、その設定した目標を達成するために必要なことをブレイクダウンしたり逆算したりできること、達成までの道のりをシミュレーションして分析し、目標達成までの道のりにある障害を取り除くことができる人、さらに分析結果を元に努力し続けられる人。

このような人が希望を叶え、俗に言う「自己実現」なるものができる人なのではないか。

参考・補足

  1. https://casa-esp.com/?page_id=1798

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