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鶴丸高校について卒業生が説明します

「鶴丸」は鹿児島県人ならばだれもが知っている高校であろう。
しかし、鶴丸高校がどのような高校なのか、その実体を知っている人は少ないのではないだろうか。

鶴丸高校を卒業した知人友人がいないかぎり、未知に包まれた領域ではないかと思う。

そこで「鹿児島の紫禁城」とでもいえる鶴丸高校について、鶴丸高校のOGである筆者が紹介してみよう。

ただし、一概に鶴丸高校と言っても、わたしが鶴丸生だった当時の実態や、鶴丸の後輩から聞いたことが情報源なので、現在は異なる部分もあるかもしれない。その点に関してはご留意いただきたい。

Lina
早稲田大学卒業後、新卒でフリーランスのライターとして活動をはじめ、派遣社員と正社員(メディカルライター)を経て、現在はロンドン在住。ブログやYouTubeでも情報発信中。趣味はテニス。

勉強、勉強、勉強

鶴丸では全校朝会などで「鶴丸は勉強するところである」という格言(?)が頻繁に引用される。
いつの時代かの生徒会長(だったはず)が言った言葉で、それが脈々と受け継がれているらしい。

この言葉のとおり、鶴丸は勉強するところなのです。
進学校なのです。進学校の存在理由は大学に受かるために勉強するところです。

精神がおかしくなりそうだな、と思うほど勉強はする。
鶴丸出身者は、「あのときはよく頑張れたものだな」と口を揃えて言う。

鶴丸は1日に7時限まであり、日によってはその後に補習がある。
ホームルームは8時くらいにスタートし、18:30には下校しなければならなかった(と記憶している)。

部活も18:30で終わりだった。
18:30に終了ではなく、18:30に校門を出ないといけなくて、のそのそと着替えていると校門で怒鳴られる羽目になる。

理系の3年生は0限もある。この場合、朝は7時スタートである。

0時限は理科の授業で、理系の学生は物理、化学、生物のうち2つを選択するのだが、この2つの科目の補習が毎日交互に行われる。今日は化学、明日は生物、その次は化学、と。

18:30で部活は終わるので比較的早い時間帯に帰宅することになるが、それから深夜までかかっても終わらないような「宿題」が出る。

毎日、英単語テストや暗記テストがあり、これで8割をとらなければ昼休みに再テストを受けなくてはならない。

鶴丸には「昼食時間」はなく、昼休みの50分くらいでランチを食べて歯磨きをして、教室移動も行わなくてはならない。再テストの日はランチが食べられなくなることも。少なくとも学食には絶対に行けない。

教科担当の先生が昼休みに時間がない場合は、再テストではなく、間違った単語や文章を20回ずつ書く、などという「写経」を行うことになる。こっちのほうが地味に大変。特に大量に間違った場合。

授業は、予習をしていることが前提で進むので、予習をしていなかったら、授業中、先生が何を言っているのかわからなくなる。

特に数学と英語はそれが顕著で、お経を聞いている気分になる鶴丸生は多い。
そんなときに質問をされたりでもしたら、当然ながら答えられない。そして、怒られます。

私が鶴丸生だった頃は、竹刀を持って授業をする先生がいて、間違うと頭を叩かれました。
これ、かなり痛くて、たんこぶができるレベルで、女子生徒にもおかまいなし…

2010年代前半の話です。大学時代の友達に話すと、都会はもっと「洗練」された授業が行われたとのこと。
しかし、後にPTAから苦情がきた(という噂)ので、強くは叩かれなくなりました。

とはいえ、鶴丸での勉強は「手抜き」もできる。宿題をしなくても怒られるだけだし、小テストで合格点が取れなくても放課後や昼休みの補習に参加すればいいだけ。

ただ、怒られるのも補習も嫌だし、手抜きをして損をする(大学に不合格になる)のは自分自身なので、90%くらいの鶴丸生は絶対に終わらないと思われるような課題に真面目に取り組みます。

また、補習に呼ばれたら部活をする時間がなくなるし、テストで赤点(平均点の半分以下)だった場合、部活への参加が禁止されるので、部活をしたいからという理由で勉強に取り組む層も一定数いた。

友人同士、お互いに「助け合う」ことも多い。

たとえば、私は英語が得意だったので、英語の予習は完璧にしていき、数学が得意な友達とノートを交換したり。
英語の単語テストの採点では、ちょっとしたミスは見逃してもらうという「友情採点」を行ったり。

90%がちょっとした小技を使いつつも真面目に勉強する。
約7%はたまに宿題提出期限に間に合わず、クラスメイトの前で怒られるか、職員室に呼ばれる。
残りの3%くらいは、はじめから課題を放棄する強者である。

けっこう部活に熱心!

鶴丸生は勉強ばっかりしている。が、心から部活に打ち込もうと思えば打ち込める。
部活で築かれる友人関係・先輩後輩関係はそれなりに濃厚でもある。

部活を頑張りすぎて、受験に失敗して浪人しなくてはならなくなった友人もかなりいる。

体育系も文化系もたくさんの種類の部活動がある。
他の高校でできるのに、鶴丸でできない部活はほとんどない。

野球、サッカー、テニスなど王道系のスポーツはもちろん、ハンドボール部や山岳部などもかなり盛んに活動していた。

文化系は吹奏楽部や放送部をはじめ、化学部・生物学部などの学問系の系の部活もある。
新しく部活を作ることも比較的容易で、わたしの代には地理部を作った人がいた。

伝統校らしく、立派な弓道場やお茶室もあり、わたしがいた頃は、百人一首部が大会でよい成績を残していたように記憶している。

大多数の鶴丸生は、授業や家ではしっかりと勉強して、放課後は勉強を忘れて部活に打ち込む、というメリハリのある学生生活を送っていた。

もちろん、学業が優先されるため、部活の強豪校に対して勝つのは難しい。

しかし、たまにどこかの部が県大会でベスト4くらいまで勝ち残ったときには、全校生徒で競技場まで応援に行ったりもした。わたしのときはバスケ部が優秀で全校応援があった。
個人競技では、テニスが非常に強い先輩もいた。

勉強もできて部活も頑張る、そんな文武両道、自分の好きな分野を伸ばすことのできる高校であると思う。

校則が厳しい(ときに理不尽なほどに)

校則は極めて厳しい。おしゃれはできない。

・スカートは膝下4センチ
・ズボンからシャツ出し禁止
・女子は肩にかかる髪の毛は絶対に結ぶ、男子は耳に髪の毛がかかったらアウト
・眉毛剃るのもNG(化粧なんて問題外)
・靴は白の運動靴かローファーのみ
・靴下は白オンリー(白でもルーズソックスなど問題外)
・マフラーは黒のみ可……

などと、永遠に続きます。

最後のマフラーは黒のみ可、については私自身の理不尽な経験がある。

ある寒い冬の日、高校生だった筆者は校門を通り過ぎようとしました。
そしたら、とある先生に呼び止められました。

「おい、首になにを巻いているんだ。それは許可されていないぞ」先生は厳しい口調で私に言いました。

私は何を注意されているのかわかりません。
私が首に巻いていたのは真っ黒のネックウォーマーでした。柄も模様も入っていません。

「生徒手帳には『黒のマフラーのみ可』とあるだろう。それはネックウォーマーだ。校則違反だ!」

先生はそう言い、寒空の校門の前に私を立たせ、5分も10分も怒鳴りつづけました……

(鶴丸への進学を考えている皆さん、校則は生徒手帳の文字通りに守りましょう……)

楽しいイベントもたくさん

勉強ばかりといっても、楽しいイベントもそこそこある。

体育祭、文化祭、修学旅行、講演会、芸術鑑賞会など。
高校生活において、なくてはならないイベントのベースラインは担保されている。

とりわけ、特色のあるものを挙げるとすると「甲鶴戦」。コウカクセン、と読む。

甲南高校と鶴丸高校、つまり甲鶴がスポーツで学校対抗試合を行うイベントだ。

鴨池の陸上競技場を貸し切って、ほとんどのスポーツ種目が行われる。
最後は、野球の全校応援で、吹奏楽部の演奏とともに非常に盛り上がる。

ほかに、鶴丸の特色あるイベントとして受け継がれているものに「ドリーム」がある。

これは、高校3年生がハロウィンのときにするような仮装をして、ダンスを踊るというもの。
男子が女装するのが名物である。

また、鶴丸の卒業生には世界で活躍している人が多数いるため、そのような卒業生をゲストスピーカーとして招いて講演会が開催される。
これは保護者や近隣の人など外部の人も聴講できるイベントだったはずだ。

私が鶴丸にいたころには、有名な書籍シリーズ『空想科学読本』の著者・柳田理科雄さんや、「日本のNASA」であるJAXAの職員などが演台に立っていた。

修学旅行は基本的に東京で、東大の見学がコースに含まれている。もちろん、ディズニーランドも行く。

ただし、私の代だけは東北大震災のため、旅程が急遽関西に変更された唯一の例外だった。
ただ、大学は上京すると決めていたので、個人的には関西で嬉しかったのだが。

進路・就職先はバラエティに富む

鶴丸というと、医者や弁護士になる人が行く高校、という印象を持っているかもしれない。
それは間違っていない。鶴丸卒の医者や弁護士は腐るほどいる(腐るって言ったら失礼?)。

医師をはじめとする医療従事者は非常に多い。特に、医師と薬剤師。それから歯科医師。理学療法士と看護師もちらほら。医療従事者になった友人はクラスの半分以上だと思う(数えたわけではない)。

次点は、大企業のサラリーマンとOL。だれもが一度は聞いたことのあるような会社に就職している。
あえてベンチャーに入社した友人もいたが、これはかなり少数だった。やはり「キャリアのスタートは大企業で」という定石に従っているようだ。

あとは、公務員が多い。公務員になるパターンには3種類がある。

① 官僚(国家公務員)
国を動かすエリート中のエリートですね。

② 教師
一定数います。ただ、それほど多くはない。同期ではわたしが知る限りで学年で3名。

③ 県庁・市役所職員
これが一番多い。鹿児島に住み続けたいけど、鹿児島には上場企業が非常に少ない。
鹿児島で給料がそこそこ良い仕事はかぎられており、会社員ならば代表格は鹿児島銀行の社員。
しかし、銀行員や教師には興味がないから、県庁・市役所職員になるというわけらしい。

全員が全員、医者や大企業の会社員、公務員になるわけではない。
鶴丸OB・OGには以下のような人もいる。

・ 経営者
・ 研究者
・ 記者・ライター
・ 政治家・官僚(国家公務員)
・ レストランやバーのオーナー
・ 漫画家(有名どころは尾崎イラ先生)
・ ミュージシャン・歌手(有名どころは辛島美登里さん)
・ アナウンサー
・ 格闘家

ちなみに私も例外のひとりで、新卒で就職せず、フリーランスのライターとなった。

鶴丸ほどバラエティに富む進路を歩む卒業生が多い高校はそうはないのではないかと思う。
あとは、ラ・サールか。

しかし、繰り返しになるが医療従事者が圧倒的に多い。
鹿児島の大きな病院では同級生がたくさん働いている。これってけっこう嫌であったりする。

ふと病院に行ったら、担当医が元クラスメイトで、その人に聴診器当てられたり、触診されたり——という可能性がある。
もちろん患者側も嫌だが、医者側も嫌だと思う。きっと。

万一、鹿児島で事故にでも遭って、救急車で運ばれることになったら、同級生に会う確率がそれなりに高い。これは避けたいから、鹿児島に帰省したら救急車に乗らないよう心がけようと思う。

ちなみに、弁護士は人気がなくなっているようで、私の代には弁護士がいない(はずだ)。
法学部卒はたくさんいるが、弁護士にはならなかったようである。

早稲田大学(筆者の卒業校)でも法学部は不人気で、早稲田高校などの付属校では一定数の生徒が入試を免除されて早稲田大学にストレートで入学できる。この内部進学は成績順に好きな学部を選べるらしいのだが、法学部は最後まで枠が残ると聞いた。

ただ、先輩には弁護士は非常に多い。
弁護士が飽和しているから、仕事がなくなることを危惧して、難関な司法試験に挑まないのかもしれない。

鹿児島の外で強い「鶴丸」の絆

卒業生が集って同窓会などのイベントをするのはどこの高校も同じだと思うが、鶴丸は鹿児島以外で「鶴丸コミュニティ」が形成されている。

卒業生の多くが県外の大学に進学し、就職でも鹿児島に戻らないことが多いからである。

とくに多くの卒業生が住んでいる東京では「東京鶴丸会1」が組織されており、毎年高級ホテルのホールを貸し切って「総会」が開かれ、400〜600人の卒業生が集う。(正確な人数は知らない、だが、参加者は非常に多い)

また、毎年、渋谷で開催されている「渋谷・鹿児島おはらまつり」では、鶴丸の卒業生だけで構成されたチーム「東京鶴丸連」が出場している。

東京鶴丸連は、100人以上の大所帯で(たしか一番人数が多い)、優勝もしている強豪である。
筆者も参加したことがあり優勝を2回味わっている。

わたしは高校を卒業してからずっと東京に住んでいたため、東京のイベントにしか参加したことがないのだが、関西でも同じような活動があるようである。
だが、一極集中という問題を抱えた日本らしく、東京に移り住む鶴丸生が非常に多い。

海外で日本人同士が出会うと意気投合するように、故郷を離れた同郷人も仲良くなる。

鶴丸卒の友人とは社会人になっても濃い友情が続きやすい。
学生時代にそれほど接点がなかった人とも、大学生、社会人になってから仲良くなったりもする。

就職に強い

鶴丸卒です、と鹿児島で言ったら、面接官に無下にされることは極めて稀だと思う。

このような意味で鶴丸卒は「就職に強い」とも言えるが、それ以上に鶴丸のコミュニティが就職や転職において強みとなる。

前述したような鶴丸関連のイベントで、様々な分野で活躍する先輩に会うことができ、就職の斡旋をしてもらえる機会がある。

まず、大学生向けに就活相談会が開催されており、鶴丸の人脈を駆使した就活をすることができる。
先輩方、かなり面倒見がよい。ボランティアなはずなのだが。

また、個人的に相談することもできる。私の友人は、電通に転職したくて、電通の社員を紹介してもらい、アドバイスや履歴書の添削を受けていた。

わたしも転職する際には、鶴丸の先輩に相談して意見をもらったり、鶴丸卒のキャリアアドバイザーの方のコンサルを無料で受けさせてもらったりした。これは非常にありがたくて、転職エージェンシーの使い方から給料相場までアドバイスをもらった。

一生の友人ができる

「鶴丸に行ってよかったか」という話をたまに同級生、または先輩や後輩とすることがある。
いつも結論は「鶴丸生には戻りたくはないけど、いい友達に恵まれた」というもの。

大概の鶴丸のOB・OGは鶴丸生には戻りたいとは思わない。勉強や規律が辛かったから。

しかし、辛い分だけ、辛い時間を共に過ごした仲間との間に「絆」というようなものが形成され、それが長く続く。
わたしのまわりでもそうだし、仕事が一段落してお金や時間に余裕ができた50代、60代の先輩が鶴丸の気心の知れた仲間同士とオールで飲み会とかをしている様子を見て、この人間関係はすごいな、としみじみと感じることがある。

どの高校に進学しても、親友と呼べる友人はできるだろう。
そして、その友情は一生続く可能性はある。

しかし、ひとりやふたりの「特別な友達」だけでなく、何十人、何百人といった「鶴丸卒業生」と、一生の付き合いができるのが鶴丸に特異的なものかもしれない。

鹿児島で最も歴史の長い高校が、長い時間の中で築き上げた親密なコミュニティの一員になれることは、人生において価値があるものだと思う。

合わない人には合わない

鶴丸生時代は辛いことの連続で、合わない人には合わない。退学者もそこそこいる。

退学したり不登校になったり留年したりして、卒業時の人数は、入学時の人数から10人くらいは少なかったはずだ(確認したわけではない)。

この理由は、勉強に挫折する人が一番多いのだと想像する。

鶴丸生は、中学までは、学校でトップクラスの成績で「優秀」と賞賛されてきた人ばかり。
それが、鶴丸に入った瞬間「凡人」になるのだ。「落ちこぼれ」になる人もいる。鶏口が一瞬で牛後となるのだ。

進学校であるため、大学に進学する意志がなくなった場合に中退した人もいた。

不登校もそれなりにいるが、これはいじめが原因ではない(と思う)。
鶴丸生は平均的な高校生に比べて「しっかり」しているし大人である。たしかに「いじられキャラ」がいじられること、「変わり種」が揶揄されることはあったが、このようなものをいじめに含めないならば、表面だったいじめはなかった(本人がいじめだと感じていなかった可能性がないわけではないが)。

だが不登校者は常にいた。
わたしの知る例では、部活と友人関係のトラブルから不登校になった例があった。陽キャな好青年タイプのクラスメイトだっただけに、非常に意外であった。

ちなみに、そういうわたしも広義での「不登校」になったことがある。
友達はたくさんいたし、勉強から逃げ出したくなったわけでもないが、単純に学校を休みまくっていた。

ちなみに不良になって、天文館をうろついていたわけではない。
だが、わたしの不登校体験記は面白い記事になるかもしれないので、そのうち書くかもしれない。(書かないかもしれない)。

鶴丸は鹿児島の紫禁城なり

冒頭でも述べたとおり、鶴丸高校に関する情報は少ない。

実際、わたしも入学してからはじめて鶴丸について知った。
受験するときも、志望校について深く考えておらず、鶴丸を目指せる成績だったため、受験したのだった。

というより、わたしは高校時代に留学がしたかったため、「鶴丸に受かったら留学していいよ」と親に言われており、それが鶴丸合格のモチベーションだった。
もし、「ラ・サールに受かったら留学していいよ」と言われていたら、ラ・サールを目指したかもしれない(筆者は女である)。

鶴丸高校についての情報が少ないことは、次のような鶴丸高校の本質ないし特徴を象徴していると思う。

情報発信者がいない

今日、情報を探す場所はインターネットが主要である。
インターネットに情報が流れるには、その情報を発信する人間が必要である。

鶴丸のことをよく知るのは、現役の鶴丸生、そしてその卒業生だろう。

現役生は勉強に部活にイベントにと忙しくて、ブログを書く時間などないだろう。
SNSに高校生活を投稿していたとしても、プライベートアカウントとして知人友人以外には見せないようにしていると思う。

卒業生も同じく積極的に鶴丸についての情報を発信している人は見られない。

受験勉強から解放されて新生活を楽しんでいる大学生が、鶴丸時代の経験をブログに書くことに時間を費やしはしないだろうし、大学を卒業すると、社会人としてブログやウェブサイトの運営は「副業」にあたるとかあたらないとか、社会的地位がどうのとかで、勤勉かつ優秀な医療従事者やサラリーマンの鶴丸OB・OGは情報発信をしないのだろう。

鶴丸の友人の多くがSNSのアカウントを持っているが、ほとんど全員が本名を明かさず投稿をしているし、明かしていても「鍵アカ」にしている。

学校が積極的に受験生を募集していない

鶴丸高校について、内情をよく知る人種はもう一群存在する。鶴丸高校の教師である。

彼らは、立場上、個人的なブログやSNSに鶴丸の内情について発信することはないだろう。

しかし、学校はある程度、学校案内や行事の様子などを公式ウェブサイトに掲載するものである。
しかし、そのような発信も極めて少ない。

他の高校ならば、「文化祭の様子」「体育祭の案内」「〇〇部の県大会での健闘」などと、何かしら発信している。だが、鶴丸にはそれがなかった (2021年からは公式ブログ2なるものが開設されているようだが)。

鶴丸は偏差値によるランキングにおいて、鹿児島県公立高校No.1の座に君臨している。そのため、黙っていても、入学希望者が必ず存在する。

他の高校のように「楽しい高校生活を送れます」「こんなに部活に打ち込めます」「制服かわいいですよ」などという勧誘を必要としていないのだ。

私立のラ・サールのように、受験生が増えればそれだけ受験料で金儲けできるわけでもない(私立の教育機関が受験料でお金稼ぎしているという筆者の仮定に基づいているだけで、本当のところは知らないが)。

スマホ・携帯電話が禁止されていた

現在は、スマホの持ち込みもOKになっていると小耳に聞いたが、わたしが現役だった頃は、携帯電話の持ち込みには、さぞ厳しかった。

当時はまだガラケーの時代。スマホは高校2年くらいから徐々に広まってきた。
ちなみに、わたしは3年間ガラケーだった。

担任にガラケーが見つかった友人がいたが、彼女は1ヶ月、携帯電話を返してもらえなかった。
正直、これは少々やりすぎだと思った。携帯電話代は支払われ続けていたし、携帯を返してもらったとき、メールが200件貯まっていて、すべて既読するのが大変そうだった。

ちなみに、みんな携帯電話は上手く隠して持ち込んでいました。
わたしも毎日、鞄に潜ませていました。

写真を撮るような機会が少ない

写真を撮る機会も少ない。カメラを持ち込みしていいイベントは体育祭、文化祭くらいで、携帯電話も表向きは禁止。だから、そもそも、SNSやブログに投稿する「素材」が少ないのである。

鶴丸高校に進学するべきかもしれない人

鶴丸高校で過ごす3年は、辛いことが多いと思う。

これは、受験勉強が辛いということが第一の理由であり、鶴丸でなくとも難関大学を目指すならば多かれ少なかれ辛いものだと思う。

鹿児島には難関大学の受験生向けの予備校や塾がほとんど存在しない。
そのため、頼れるのは、学校だけだ。

鶴丸での学生生活が辛いというよりも、地方で難関大学を目指したり、地方出身者がハイキャリアを実現するために必要な学歴を得たりすることが厳しいという現実がある。

日本の教育問題の根底にある要因が、鶴丸高校での学生生活を辛くしてしまっていると思う。

勉強は辛いといえども、鶴丸に進学したことは後悔がない。社会人になった今だからこう思えるというのもあるが。

わたしが男だったら、ラ・サールも視野に入れたかもしれない(受かるかどうかはわからないが、志望校に入れる、という意味で)。だが、ラ・サール以外の公立高校・私立高校を俯瞰すると、わたしの人生においては鶴丸高校に進学したことは最も良い選択だったと感じる。

結果、多くの卒業生が「鶴丸でよかった」と言うし、それは以下のような人である。

・ 難関大学に進学したい(目安として偏差値57以上の大学)
・ 将来は鹿児島以外に住みたい・鹿児島以外で働きたい(他都道府県、特に東京。海外も)
・ 高収入の職業に就きたい
・ 公務員になりたい
・ 人とは異なる職業に就きたい(経営者、芸能人、アナウンサー、研究者、職人など。スポーツ選手は除外)
・ 特に、上記に当てはまる女子(男子はラ・サールという選択肢があるため)

参考・補足

  1. https://tsurumaru.net/
  2. https://tsurumaru.edu.pref.kagoshima.jp/

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