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水は透明なのに滝や波が白く見える理由

水は透明である。しかし、滝の水は白い。波も白く見える。
なぜ透明の物質が白に変化するのだろうか。

そもそも「物体が白く見える」のはどういうことなのか。

私たちが葉っぱを見ると緑に見えるのは、葉っぱが緑の光だけを反射しているということである。
他の色は、葉っぱに吸収されて、私たちの目には届かない。

同様に、物が「赤」に見えるときは、物体や物体の表面の塗料が赤い光以外を吸収しており、赤い光だけを反射しているということだ。

また、物体がすべての色の光を吸収して、私たちの目に光が届かない場合、その部分は黒く見える。

一方、私たちが「白い」と認識するのは、光が全ての色を包含しているときである。
少し難しい言い方をすると、可視光スペクトルのすべての波長の光がほぼ等しい強度で混ざり合っている状態を指す。

白色光をプリズムに通すと、その光は虹色に分解される。白い光がすべての色の光を含有している証拠である。
プリズムとは、光を屈折させたり反射させたりする透明なガラスやプラスチックの形をした道具のことだ。

プリズムの一般的な形状は三角柱で、その形状と物質の屈折率により、光はプリズム内部で屈折する

物体が白く見える仕組みがわかったところで、透明の水が形づくる滝や波が白く見える話に戻ろう。

滝や波が白く見えるのは一瞬だけだ。白く見えた水はすぐに透明に戻る。
滝の水が白く見えるのは、上から下へと落ちている瞬間だ。波の場合、泡立っている一瞬に白く見える。

この「泡立つ」というのが重要である。泡は空気が水の中に入ることで生じる。
これらの泡は光を様々な方向へ散乱させる。その結果、私たちにはそれが白く見えるのだ。

また、滝や波は大量の水が高速で動いている。この場合、反射される光の量も増える。
だから、力強い滝や波は、穏やかな川と比べてより白く見える。

滝や波と同様の理由で、白い花も実際は白ではないのに白く見えている物体である。

赤や黄色の花の花びらを手で潰してみたら、手には赤や黄色の汁がつく。
赤い花は赤色の色素を、黄色の花は黄色の色素を含んでいるからだ。

しかし、白い花を潰してみても、手につくのは透明の液体だけである。

花の色素はフラボノイド・カロテノイド・ベタレインの3つの物質に大別できるが、このどの色素も「白」を発色することはできない。

しかし、花が透明の色素を持つとき、それは花びらの中で様々な色の光を散乱させていて、私たちの目には白く見えるのだ。

Lina (サイエンスライター)
早稲田大学卒業後、新卒でフリーランスのライターとして活動をはじめる。現在はサイエンス分野のライター業に専念しつつ、ブログやYouTubeでも情報を発信している。
鹿児島出身、イギリス在住。趣味はテニスと水彩画。

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