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目に見えるものはすべて過去

光が目に入ったら見える。これが視覚だ。光は光源から発せられることもあるし、光源からの光を物体が反射している場合もある。

光源から発せられた光や、物体から反射した光が、我々の目に届くまでには時間がかかる。

そのため、わたしたちの目に見えるものは、すべて「過去」なのである。

光源や物体が近くにあれば、ほんの一瞬前の過去だ。本当にほんの一瞬の刹那。

しかし、太陽の光が地球に届くまでは約8分かかる。だから、わたしたちが見ることができるのは8分まえの太陽だけだ。この瞬間、太陽が消えても、わたしたちは8分間はそれに気づかない。気づけない。

遠くの星ならば、さらにその時間は長くなる。例えば、北極星は431光年先にある。だから、北極星が消えても、わたしたちはこの先431年間は北極星を見ることができる。

もし、わたしが今死んだとする。

そして、もし宇宙のとある一角に超絶強力な望遠鏡を開発している宇宙人がいたら、彼らは何十年も何百年もわたしのことを見ることができる。わたしは死んでいるのに。

その超望遠鏡を使って、今まさに地球の恐竜が絶滅していくのを見ている宇宙人がいるかもしれない。

時間とは何か。

光とは何か。

現在は見えない。

目に見えるものがすべて現在ではないならば、目で見ているものを知覚しているわたしたちも、この瞬間、過去を生きているのか。

by Lina サイエンスライター

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