節約をしないという選択は、単なる浪費や贅沢を意味するわけではない。むしろ、合理的に考えれば、時間と幸福を最大化するための賢明な投資であることが多い。節約が必ずしも最善の選択でない理由と、時間をより有効に使うための選択肢について考えてみよう。
イギリスで暮らす毎日の小さな楽しみはクッキーだ。スーパーに行けば、どのチェーンでも美味しいクッキーが手に入る。チョコレートチャンクやベルギーチョコレート、塩キャラメルなど種類も豊富で選ぶのも楽しい。価格は4、5枚で1.5-2ポンド程度。ロンドンの物価は高いが、日本で同じクオリティのクッキーを買うと1枚180円ほどになるため、クッキーに関しては日本よりもお得である。
しかしながら、ここ1年でインフレが進み、クッキーの値段も30、40ペンスほど上がった。日本円にすると50から70円くらいの値上がりだ。このインフレの中で、節約を考える人もいるかもしれない。しかし、私はクッキーを買うことをやめない。
節約の最大の利点は出費を抑えることだが、その代償としてQOL(生活の質)が下がる。例えば、節約のためにクッキーを買わないとすると、少額の金額を浮かす代わりに日々の楽しみを失うことになる。このトレードオフが本当に適切かどうかを考えると、私はやはりクッキーを買う方が良いと感じる。
QOLが低下すると、身体的にも精神的にも影響を受ける。集中力が落ちたり、仕事の効率が下がったりすれば、その損失は節約で浮かせた金額を超えてしまう。また、節約によって浮くお金は限られている。無駄遣いをしているわけではなく、身の丈に合った生活をしているのであれば、節約で得られる効果はそれほど大きくはない。クッキーを買うことは「贅沢」ではなく、日々のささやかな楽しみのひとつである。少額の出費で得られる幸せはストレスの軽減やメンタルヘルスの向上につながるため、2ポンド弱のクッキーは価値ある投資といえる。
節約しないことは必ずしも贅沢や浪費を意味するわけではない。論理的に考えれば、節約の反対は「節約しない」ことであり、贅沢ではない。身の丈に合った生活をしている人にとって、節約で得るものより失うものの方が大きい。
例えば、自炊で節約する場合、料理や買い出しに時間を使うことになる。家賃を抑えるために駅から遠い場所に住むと、通勤時間が増える。こうして節約に時間を使うことで、仕事や勉強、リラックスする時間が減ってしまう。無理に節約して心身の調子を崩してしまうと、その回復にも多くの時間がかかる。
さらに、節約するよりもお金を使って時間を買う方が合理的である場合が多い。例えば、あるエンジニアが1時間働いて3,000円を稼げるとする。このエンジニアの場合、自炊をせず、1時間働いてそのお金で外食をする方が効率的かもしれない。自炊や買い出しに合計1時間かけて500円の食材で料理をするより、3,000円分残業して2,000円の外食をした方が余裕も生まれるし、より美味しい食事を楽しめる。
節約と同様のことが、ボランティア活動いえる。例えば、このエンジニアがボランティア活動に5時間費やして1万円を集めることができたとする。しかし、自分の専門分野で5時間働いて1万5千円を稼ぎ、その金額を寄付した方が、より大きな貢献ができる場合もある。このように、時間をどのように使うかが重要であり、必ずしも節約が最善の選択とは限らない。
節約やボランティア活動が楽しみであれば、それは価値のあることだ。しかし、そうでないなら節約するよりも、お金を払って時間を買うことが賢明な選択といえる。各自が自分の得意分野で最大限に力を発揮することで、社会全体の価値も高まる。
心身の健康を維持し、生産的な時間を確保するために、物価の高いロンドンに住んでいても節約はしない。贅沢はしていないが、節約もしていない。週に何度もクッキーを買い、集中するためにカフェにも行き、大量に書籍を購入し、ビーフステーキも食べる。
節約しないことで、身体的・精神的、そして時間的に余裕を作り、勉強やスキルの向上、心身の回復に活用する。節約せずにお金を払うことは未来への投資だといえよう。
コメント
ブログ拝見しました。私も節約は普段はしてません。唯一の例外が固定資産税の支払い時です。年に一度所有物件に課税されます。私は大家なので、自宅とアパート、計3物件分の税を支払わなければなりません。その折は、毎月の旅行を延期します。節約必要な時はやむを得ず、節約を行い、月の収支を合わせます。ただ普段は友達と飲んだり、食べたいもの食べ、ほしい服買い、読みたい本買い、行きたい処行き、孫に小遣いあげます。りなさんのブログは何故か引きつけられます。異国での一人自活、大変だと思います。はるかな東京から応援しております。御健やかにお過ごし下さい。ごきげんよう!お元気で!